「イラレの黒」と「画像の黒」で色が離れてしまった事例のお話
こんにちは!豊栄産業SP事業部の小林です。
印刷加工時、想定している色味に仕上がらないことって多かったりします。
本号についてはその事例についてご紹介させて頂きます。
黒を基調としたフロア什器を作ります!
下図のフロア什器製作のご依頼を受け、製図と処々確認・入稿・手配進行となりました。
印刷についてはオフセット印刷で進行します。
正面の訴求部分は4C掛け合わせのデザイン。正面以外については黒1Cベタに文字白抜。
表面加工は全てマットPP仕上げの内容になります。ツヤ無しの黒を基調とした高級感を持たせた仕様ですね!この時に注意しないといけないことが、各黒のデータの内容になります。
次にイラレで製作するデータについておさらいしてみましょう!
データ上の「黒」について
黒ベタ(K100%)
CMYKカラーでデータを作成時、「黒(K)」が100%の濃度で表現されている黒色のことです。
懸念点としては黒(K)1色のみで印刷されるため、色が浅くなってしまうこと。
また広範囲にわたってベタ面として使用すると「ピンホール(白抜け)」が発生しやすくなります。
印刷用語でピンホールとは、針で突いた様な小さな白い点のこと。印刷する紙やブランケット、ローラーなどにごく小さな異物・紙粉が付着したまま印刷する際に起こる事象のことです。
ベタ系のデザインは起こり易く、また色ムラも出やすくなります。そういった懸念を払拭する為、補色版(K80%等)を使い、2回通しを行うことで品質を安定させます。
リッチブラック
CMYKカラーでデータ作成する際4色をかけあわせて作成した黒を「リッチブラック」といいます。
一般的には、単色の黒ベタよりもリッチブラックの方が、引き締まりのある黒に仕上がります。
4Cの掛け合わせデザイン上にある黒について、理由がなければ基本的にリッチブラックをおすすめします。
いざ製造!
承認を頂き進行の運びとなりましたが、製版時に懸念点が出て来ました。
正面訴求パーツ(4C)のデザイン背景が画像の黒であるということです。商品だけをパスを切って、背景をリッチブラックにすることはデザイン上かなわず。データ上における「イラレの黒」と「画像の黒」について、印刷機械やインキ・表面加工によってまちまちですが、若干仕上がりの差違はやはり発生します。
これまで類似商品を製作したことはありますが、許容範囲の範疇でした。今回は印刷後、表面加工をマットに仕上げる予定ですがどうでしょうか・・・。
印刷をかけて、マットPP加工を施した刷り本がこちら。
印刷をかけて、マットPP加工を施した刷り本がこちら。
ぱっと見で完全に黒とグレーな仕上がりになってしまいました・・・。
事前に簡易校正で確認をしましたが、ここまで差違がでるとは思いもよりませんでした。
関係する協力先の製版担当者さまも状況を見て、内容に驚いていました。普通に印刷をかけてここまで離れるのは珍しいとのこと。確実な確認を取り進める為にはやはり最低でも本紙校正確認が無難であると改めて感じます。
このままでは什器の世界観が壊れてしまう!
本件の対策として、正面訴求パーツのみインクジェット出力にて印刷をかけさせて頂き対応しました。オフセット印刷と同データで出力をかけたのですが、こちらは締まった黒の色味がでて問題ありませんでした。印刷方法の違いで色味が変わるのは当たり前ですが、改めて印刷って難しいなぁと感じました。
また今後取り上げられる事柄や事例があればブログでご紹介しようと思います!
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